2026年度の「かごしま中小企業DX推進事業費補助金」は、ITツールを購入するだけの計画では申請準備が進みません。
県の公式情報では、ITベンダーまたは認定経営革新等支援機関と共同で事業計画書を作成することが主な要件として示されています。
共同作成とは、業者に申請書を丸投げすることではありません。事業者が経営課題と現場を説明し、ベンダーが技術・費用・導入スケジュールを具体化する役割分担が必要です。
2026年7月11日時点の公式情報です。2次募集は2026年7月17日から8月19日までです。予算上限により早期終了する場合があります。
奄美市の補助金とは何が違う?
奄美市ICT補助金は市内事業者向けで上限30万円ですが、県のDX補助金は鹿児島県内に事業所を持つ中小企業が対象で、補助上限は400万円、補助率は3分の2以内です。
規模が大きい分、経営課題、数値計画、事業推進体制、事業終了後のDX計画など、より具体的な説明が求められます。
比較 | 奄美市ICT補助金 | 県DX補助金 |
|---|---|---|
対象地域 | 奄美市の事業者等 | 鹿児島県内の中小企業 |
上限 | 30万円 | 400万円 |
補助率 | 3分の2以内 | 3分の2以内 |
計画作成 | 事業計画・支出計画 | ITベンダー等との共同作成が要件 |
小さな予約管理やPOS導入なら市制度、大きなシステム連携や複数部署の業務改善なら県制度が候補になる場合があります。ただし、同じ経費へ二重に補助を受けることはできません。
ベンダーへ相談する前に現状を一枚にする
最初の打ち合わせで、「何かDXしたい」「AIを使いたい」だけでは、提案が機能一覧になりがちです。
次をA4一枚にまとめます。
- 事業内容と利用者
- 現在の業務フロー
- 困っている作業と時間
- 使っている紙・Excel・既存システム
- 導入後に変えたい数字
- 対応できる担当者
- 希望する開始時期
システムへ合わせて仕事を変えられる部分と、業務上変えられない部分も分けておきます。
ベンダーと共同で決める6項目
- 解決する経営課題
- 導入する機能と対象外
- 導入前後の数値目標
- 担当者・責任者・外部支援者
- 導入・研修・検証のスケジュール
- 補助終了後の費用と運用
県の審査項目には、現在の経営課題、期待効果、事業推進体制、スケジュール、事業終了後のDX推進計画、収支計画などが含まれます。
申請書を埋めるためではなく、採択後に実施できる内容かを確認する項目です。
数値目標は売上だけにしない
DXの効果は、売上増加だけではありません。
課題 | 測定できる指標 |
|---|---|
手入力が多い | 入力時間、転記回数 |
在庫が分からない | 欠品、廃棄、確認時間 |
担当者しか分からない | 引き継ぎ時間、共有人数 |
予約変更が漏れる | 伝達ミス、再確認件数 |
顧客へ再案内できない | 再来店数、連絡可能顧客数 |
導入前の実数を取っていないと、導入後に効果を証明できません。申請前の一週間でも測定します。
見積もりで確認すること
- 要件定義費
- ソフトウェア・開発費
- クラウド利用料
- データ移行
- 機器・周辺設備
- 操作研修
- 保守・問い合わせ対応
- 追加改修・解約・データ出力
補助対象の費用と、自社負担になる費用を見積書で分けてもらいます。初年度の導入費だけでなく、3〜5年間の総費用を確認します。
「補助金向けの機能」を増やさない
上限額が大きいからと、必要性の低い機能まで追加すると、導入後の操作と保守が複雑になります。
機能ごとに、利用者、使用頻度、削減時間、責任者を書きます。説明できない機能は一度見送ります。
パッケージ製品で対応できる業務と、個別開発が必要な業務も分けます。個別開発は自由度が高い一方、仕様変更と保守費用が増えます。
ベンダー選びで確認したい質問
- 同じ規模・業務の導入経験があるか
- 申請支援とシステム開発の責任範囲はどこか
- 採択されなかった場合の費用はどうなるか
- 事業者側が用意するデータと作業は何か
- 導入後の問い合わせ窓口は誰か
- 契約終了時にデータを受け取れるか
- 仕様変更の見積方法はどうなるか
「補助金が通る」と保証する説明ではなく、制度要件とシステム要件を分けて説明できる相手を選びます。
採択後に止まりやすい3つの場面
担当者が通常業務で動けない
打ち合わせ、データ整理、動作確認、研修には事業者側の時間も必要です。週に何時間確保するか決めます。
既存データが整理されていない
顧客名、商品名、在庫、会計科目などの表記がばらばらだと、移行に時間がかかります。
導入日だけ決まり、切り替え手順がない
紙と新システムをいつまで併用するか、旧システムをいつ止めるかを決めます。
まとめ
かごしま中小企業DX補助金の共同計画では、事業者が経営課題と運用を示し、ITベンダーが技術と費用を具体化します。
補助上限から逆算せず、現状の時間、導入後の数値、担当者、長期費用を先に決めてください。採択される計画と、現場で使える計画を同じものにすることが重要です。


